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長い感想

100文字では足りなかった時に

スポーツ選手の生き様

Jリーグ サッカー

セルジオ越後は嫌いじゃない。愛すべきおじいちゃん枠、サッカー界の張本というか、まぁどんなジャンルであれそういう年寄りっているよね、という距離感である。

カチンとくることも少なくないのだが、実はわりとまともなことを言っている。日本代表監督に非ブラジル人が就任すると辛口度が増したり*1、スポーツマスコミに対して辛辣な批判をしたり*2、プロ意識に関する考え方が少し狭量なところがあったりする*3が、張本同様、「仕様」だと思えばよい。サッカー解説もよく耳を澄ませばまともなことを言っていると思う。ヒートアップしておかしなことになることも少なくないが。

web.gekisaka.jp

この記事も、基本的には内容には同意する。同意するが一方で、私はロートル好きなので三浦カズはもっとやれと思ってる。ついでに山本昌も還暦までだってやればいいと思っている。

 

ロートルスポーツ選手って本当に魅力的な生物だと思いませんか?

 

年を取ると如実にスピードとパワーが落ちる。物理的に筋力が衰えた自分の肉体と、脳内に残る「コンディションの良い自分の姿」とが合致せずに調子を崩して苦しむ選手も多いように思う。一方で、経験が重なってきて物理的な肉体の衰えをカバーするようになって、へえあの選手こんなプレーできたっけ、などと驚かされることもある。

でもやっぱり、肉体の衰えというのは、ものすごい暴力的に容赦なく、その選手の良いところを奪っていくのだ。

追い付けなくなる。届かなくなる。飛べなくなる。故障が増える。

コーチや監督や他の選手やファンや、糞うるせえマスコミやらに指摘されるまでもなく、自分が一番衰えを日々つきつけられている。
それでも、何かやれることがある、と探す。

私は、それを見つめるのが、たまらなく好きだ。

 

引退するか、まだ貢献できることがあるはずだと足掻くかで揺れるうちに、その選手はぐんぐん格好良くなっていく。顔が。
いやまじで。カズの若い時と今と比べてみたら分かるだろう。今の方が断然カッコいいぞ、顔。スポーツ選手にとっての引退は死に擬せられるようなものだと思ってるのだが、死と向かい合い格闘する人の顔なんて、格好よくなって当たり前である。

 

このところ、Jリーグ選手で一番気になっていたロートルは、鈴木隆行だった。もともとハードワーカーなFWではあったが、世界のクラブを渡り歩き引退するつもりだったその年に東日本大震災が起きたことで、図らずも闘将柱谷に促されるかたちでJリーグで二度目の選手人生を送ることになり、水戸ホーリーホックの大きな力となった。
最前線で、ボールを溜め、競り、スペースを確保しと泥臭く働く鈴木隆行は、まぁもともと男前ではあったが、ものすごく格好良かった。柱谷が水戸ちゃんで作っているサッカーを、体現するのに欠かせないピースだったのだろう、隆行が見せたプレーの影響で、移籍した後でも「水戸っぽいサッカー」が出来あがりつつあると思う。この功績がロートルならではである。そして、今シーズンはかなり出番が減っているようで胸が痛むが、この胸の痛みこそがロートルを見つめる良さである。

 

最近は、高原直泰(相模原)、田中達也(新潟)、山口智(京都)なども気になっている。どの選手も若い頃は一線級の選手、日本代表経験も豊富な大ベテランであるが、今みんなすごく泥臭く格好いい。

 

直近でぐっと来た引退はゴン中山である。たまたま、私が応援しているクラブの札幌アウェイ対戦日が、ゴン中山の最後の出場ゲームになった。
札幌は久しぶりにJ1に返り咲いた年だったのだがぼかすかやられちゃった気の毒な年でもあって、その日の試合もワンサイドゲームで札幌が負けていた。つまり、まぁ言ってみれば引退の餞のような出場である。そもそも膝がどうにもならなくなってたゴンは試合に出ても、正直、通用するような走り自体が出来てない様子だった。
それでも、見ていて泣いてしまったよ私は。全力で走るんだ、ちょう遅いんだけどさ。中山が選手としての『死』を受け入れた時に立ち会った。すごく格好良かった。

 

スポーツというのは、素晴らしい成熟したプレーを見るのも、期待の若手がぐんぐん伸びるのを見るのも楽しいのだけれど、『死』を前にしてまだ成長するロートルを見るのも、とても素晴らしいことだと思うのだ。

 

私にはスポーツ選手だった身内がいるので、なおさらスポーツ選手の引退とか怪我とかそういう話にものすごく大きく反応する。選手の配偶者というのは、場合によっては選手本人よりも強いメンタルが必要だなぁと、身内のことを考えしみじみ思う。

 

おまけ1
まだ若いうちに、擬似的にでも「死」を体験できるというのは、プロスポーツ選手という、神様に愛されて才能を職業にできている人たちの特権だと思う。一方で、擬似的な死を乗り越えることに苦労をしている元プロ選手も少なくなくて、それはとても胸の痛む光景である。この胸の痛みはただ辛いだけなので切ない。清原にはほんとうに頑張ってほしい。

 

おまけ2
とはいえ横浜FCのファンで、カズに不満を持っている人の気持ちも分かる。気持ちは分かるんだけどね、難しいよなぁ。

*1:母国ブラジル愛がすごいのは仕方ないと思う。去年のW杯でブラジルがコテンパンになった後の越後は気の毒すぎる様子だった

*2:これは100%ごもっともだと思う。スポーツマスコミは、新聞、雑誌、TVすべて本当に質が低い

*3:興業的なにおいがするのを嫌がる傾向がある。それだけサッカーに真摯に向き合ってるということでもあると思う