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長い感想

100文字では足りなかった時に

「自分たちらしい」とか個性とか言う人は糞だと思うんですよ

横浜F・マリノス Jリーグ サッカー

昨日は、J3を1試合、J1を1試合を見てきた。J3の方は驚くべきしょっぱさ、J1の方はガッカリ試合であった。そういう日もあるよ。はーガッカリ。

 

ところで、さっき、こういう記事を見つけてふむふむと思いながら読んでいた。

www.sanspo.com

 

ブラジルW杯から10か月後というすごく中途半端な時期だけど、この記事のおかげでブラジルW杯「前」の不機嫌MAXだった頃のことを思い出した。
「自分たちのサッカー」って、なんか知らんけど選手もスポーツ新聞もやたら言い募っていたのだ、あの頃。
短いパスでスペースを作り相手を崩しきってとか、そりゃ香川とか岡崎とか本田とかが居れば、そういうサッカーが一番魅力が出やすいと思う。前の選手の顔ぶれを見れば、そしてどうやってもぎゅっとは締まり切らない守備の問題とかボディコンタクトの下手さというか体格の不利さとかを考えれば、ライン上げてコンパクトな陣形にして人数かけて崩して、取られたら取り返す式サッカーは悪い選択肢じゃなかったと思う。でもそれは、あのメンバーにおける「自分たちのサッカー」であって、キーパーソンの何人かが絶不調であれば話は変わってくるだろうと思ってたのだ。

まぁでも、ザックはメンバーを頑なに変えなかった*1し、戦略も変えなかった。本田の優勝発言に縛られたようなところもあった*2し、キャンプ地選定やコンディション調整の失敗とか、人災的不幸も重なって、ぽろっぽろに負けて帰ってきた経緯は今更言うまでもないし思い出しても大して面白くもない*3

 

私の当時の不機嫌さの理由は、「私の知らぬ間に、日本サッカーはゆるぎない個性を手に入れ絶対性をまとった、完璧なものになっていたらしい」という、ある一部の人たちやスポーツ新聞などのメディアの意味不明な自信というか空気に対してだった。

いつの間に?

そりゃ、長友がインテル?!とか香川がブンデスで優勝の立役者に!とかCLでうっちーと長友が直接対決燃える!これは日本サッカー始まったな!とかは思ったけど、一方で、そういうことにいちいちテンションが上がっちゃってるうちは、まだまだなんだよなーとも思っていた。決勝トーナメントの常連国はそういうの当たり前なわけで。

 

それから「自分たちらしい」についてもそうで、W杯優勝経験国って、多くの国が、国名を出すとサッカー好きは「あーああいうサッカー」とぼんやり想像できる。ドイツ(力づおい)、イタリア(渋い)、ブラジル(華やか)、アルゼンチン(したたか)、とかね*4。もちろん異論は認めます。

でも面白いのは、緻密な守備戦略でおなじみのイタリアは攻撃指向を模索していたし、ドイツはつおいだけじゃない細やかさも指向しようとしていたし、ブラジルも(まぁ開催国プレッシャーが理由かもだけど)華麗さより手堅さを選んだりしていたことだ。アルゼンチンは、今回は特に戦略メッシだったからちょっと置いておいて 笑。

 

「自分たちらしいサッカーを!」ってスローガン作って、大切に守って育てて、という方法で、育つもんじゃないと思うんだ、個性って。

サッカーからちょっと離れていろんな業界で、個性の強さで一流になった人を思い浮かべても、彼らのその個性は、一流になるまでの時代、または一流になってなお自分と「世界」を隔てる壁のようにその人を苦しめるようなものであったりもする。
個性なんて、隠しても隠しても隠しきれないようなものでないと「それで飯食っていける」というレベルで役立ったりはしない。これはもう断言するけども。
「個性を尊重する教育」とかほんと馬鹿じゃないかと思う。尊重されて大切に育てられたような「温室個性」が役立つのは、せいぜい合コンで便利なぐらいで、W杯で優勝したりグラミー賞取ったり金獅子賞貰ったりはできない。

 

で、サッカーの話に戻りますけども、自分たちらしい、なんてもんがあるって勘違いすることや、自分たちらしさをちやほや歓迎するなんてことは、底の浅いナルシストがやることで、本当に周囲の誰よりも抜きんでてやる!と思うなら、自分たちらしさに由来する弱点を強化して潰すぐらいして当然だと思う。その強さこそが「野生の個性」の源になると思うのだ。理想を言えば、自分たちらしい良さを無くさないまま弱点を潰せればよいのだが*5、まぁそれを一発勝負の大舞台でやり切れたドイツが、ブラジルW杯に優勝したわけです。
結局、強豪国って、どんなやり方だって出来るんだよね。アルゼンチンとかイタリアとかドイツとか見てて、本当にしみじみと打ちのめされるように思った。どんな方法だってこなせちゃって、なお「どうしてもこういう風になっちゃうんです…」というのがサッカーにおける個性であって*6
ザックジャパンの最後の1年は、たった一つの武器を後生大事に抱えて視野が狭くなっちゃった状態だったように思うのだ。悲しい。ザックが作るサッカーはワクワクする魅力のあるものだと思ったし、ほの見える人柄もとても好ましいと思っているんだけど、でも悲しい。ザックだけのせいでもないんだろうけど。
というか、ザックは、やっと、世界水準の最後尾のしっぽが見えるところまで連れて行ってくれた、本当に有能で素晴らしい監督だと思う。

 

話が変わるようで変わらないのだが、よくインターネッツあたりで語られる、Jリーグのレベルが低いから日本サッカーは世界では戦えないのだ、Jリーグは代表強化のために最大限協力しろ、経済基盤も小さい弱い地方クラブなんて潰しちまえ、的な暴論があったりしますけど、それって、リーグ全体の底上げがまだできてない程度にしか、日本って強くないんだってことの裏返しでしかない。
そして「そういう考え方の人がいるうちは、日本サッカーなんてまだまだだ」ということの証明にもなってしまうようなところがあるわけです。
長友は愛媛の出身だし旅人ナカータは山梨の出身。首都圏の大きなクラブだけが強くなってしまったら、第二、第三の長友やナカータは気付かれないまま、拾われないままになってしまうかもしれないし。
つか、イタリアとかスコットランドとかあたりなんて、サッカークラブがある街の飲み屋でサッカーの話してない人いないぐらいの勢いなわけで、そのぐらいまで行かないとねぇ。

 

 

取りあえずシモダ強化部長、ハリルホジッチ監督のもとに、一つのやり方にこだわらないぬるぬるといやらしいサッカーができるようなしたたかさを手に入れたいものだと思いますですよ。

*1:変えられなかったのだろうとは思うが、やっぱりもうちょっと裾野を広げとく必要はあったよなぁと思う。W杯の切符を一番最初にゲットして一番時間があったはずなのになぁ、使ったらもっと伸びてW杯に間に合ったかもしれない選手は何人かいただろうにとか…死んだ子の年を数えるかのような遠い目になりつつ。

*2:選手も自分たちのワンアンドオンリーな武器で勝つんだと思いこんでしまっていたように見えた。うっちーだけは警鐘を鳴らすような不機嫌コメントしたりしてたのが印象的だった

*3:試合内容がなぁ、つまらんかったよなぁ…W杯は全試合見たのだが、サッカーの内容としては日本戦が一番つまらんかった

*4:スペインについては、パス馬鹿一代バルセロナとタレントサッカーレアルマドリーの二強があるおかげで、バルセロナがつおい時はパスサッカーになるしマドリーが強い時は王様サッカーになる。ベース戦術が2種類選べるというのは、さすがだよなぁ…

*5:一般的には、その人の強みは、ひっくり返して別の側面から見たら弱みになるようなもんであるので、これはとても難しい

*6:どうしても堅くなっちゃってバロテッリが残念なことになっちゃったイタリアとか、ぜんぜんダメなのについパス回ししちゃうスペインとか