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長い感想

100文字では足りなかった時に

あんなにみんなで一生懸命やっていたのにね

感想いろいろ

ジャズ好きおじさんでおなじみの村上春樹の文章で、ドク・チーサムという、ビッグバンド時代の名トランペット奏者についてのものがある。雑誌ニューヨーカーの記事を取りあげたエッセイで、ドク・チーサムが『あんなにみんなで一生懸命やったのに、そんなものが存在したことすら忘れ去られてしまうんだろうね』とインタビューに答えているところが紹介されている。
この文章自体がもう30年近く昔に書かれたもの!だったりするのだが、ドク・チーサムもジャズもちゃんと忘れられておりません。大丈夫。

 

ジャズは、ぜんぜん詳しくないけど好きである。でも全然くわしくない。ジャケットの見た目が気に入った、とか、たまたま目が合ったとか、そういう理由でぽつぽつとCD買ったり、誘われればブルー・ノートに行ったりとか、そういう感じである。
常に散発的な衝動なので、私のジャズに関する知見や知識はゼロ。いつまで経っても、常に、ゼロの場所から、いい気持ちになったりトランスしたりうきうきしたりふがふがしたりしている。ジャズは、突発的で散発的な欲望のままに聞いても汲みせど尽きぬというか、どこをどんなふうにぺろっとめくってもゆかいな気持ちになれる音楽ジャンルで大変頼もしい。こう言っては何だけど、例えば某ザイル的なダンスミュージックなんかは、ハマって熱中しても3ヶ月ぐらいで底が見えてしまいそうじゃないですか?

 

ジャズの面倒くさくて面白いところは、一口にジャズといっても、本当にいろんな耳触りの音楽があるところで、ジャンルというか「歴史」を知らないと的な面倒くささと、へぇこんな音楽もあるの!という面白さである。私は記憶力がゼロで歴史とか覚えられないから、主にへぇこんなのもあるのカッケー!の方を担当している。
言いたかないけど、ブルーノートの何番台がうんたらかんたらとか、チャーリー・パーカーのヴァーヴのうんたらがなんたらで、とか、もう全然分からんし覚えられんし、知らなくてもジャケ買い*1でも十分ゴキゲンさんになれるので、馬鹿で結構である。

 

私が特に偏愛しているのは、デューク・エリントンジョン・コルトレーンである。この人たちはちょっと狂っている。もちろんいい意味で。自分が出せる音の種類がどれだけあるかとかどんな音を出すと面白いのか気持ち悪いのかふがふがするのかみたいなことを、延々とやっている。
デューク・エリントンといえばキャラバンである。音源になってるものも多すぎて馬鹿な私には全然把握できない量だったりする。私も何枚もキャラバンが入ってるCDを持ってたりするのだが、この気持ちわるかっこいいオリエンタルな音楽は、演奏によってその表情ががらっと変わり、なお気持ちわるかっこよさは変わらない。一番聞いてるのは何だかんだでこれ。
マネー・ジャングルはほんといい。暴力的で紳士的で雑で繊細、スタイリッシュでベッタベタである。

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であるが、ここだけの話、一枚500円とかの廉価版「ジャズ100」みたいなだっさいCDに入ってるバージョンのキャラバンもお気に入りである。元盤を知りたいのだが調べるのが面倒なのでそのまま、一枚500円のヤツで聞いている。

デューク・エリントンの音の面白さってほんと独特だよなーと思うのは素人の私だけでは当然なくて、ジャズ・ミュージシャンの吉田隆一さんもこんな感じのコラムを書いておられた模様( エリントン・ハーモニーってー )。吉田さんも大変良いミュージシャンです。

 

コルトレーンでお気に入りなのは、何だかんだでベタに私のお気に入りである。この曲が好きだということもあるのだが、やはり、ばかもののようにサックスを鳴らすコルトレーンが大変に狂っていてすばらしい

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狂ってるよなぁ…。

デュークもコルトレーンも、くそまじめで結果的に狂っている場所にたどり着いてしまったという様子なのが、本当にもうたまらなく愛しい。
そういえば、二人でアルバムも作っているのだった。これがまた、静かに狂っている感じで大変宜しいのである。

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そういえば、落語とかも「あの頃はあんなにみんなで一生懸命やってたのにね」的ジャンルである。でも落語もぜんぜん大丈夫。落語も楽しいよね!
どうも、古くてもしぶとく生き残ってるみたいなものが好きなようである。

*1:昔のジャズのレコードジャケットってほんとどいつもこいつもセンスが良い