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長い感想

100文字では足りなかった時に

新国立競技場の件で、森喜朗の口にまんじゅう突っ込んでやりたいという話

長すぎるブクマ的なもの

いや腹立つわ、森喜朗

合法的にあいつの口をふさぐには、口いっぱいにまんじゅう突っ込んでやるぐらいしか思いつかない自分が悔しい。

 

www.huffingtonpost.jp

 

余りにも傍若無人だし、ブコメもしたんですけど詭弁なんて言ったら、詭弁くんに「おいそんなもんが詭弁なら俺の立場がねえよ」って怒られそうなぐらいのアレだと思ってるんですが、取りあえず私が知ってる事実関係をちょっとまとめました。

 

2020の招致活動の資料には、1964TOKYOのレガシーである国立競技場を建替えてレガシーを継承する、といった趣旨の内容がある。リンク参照。

大会プラン>>TOKYO 2020

つまり、招致活動以前に、国立競技場の建て替えは「折り込み済み」なのである。これが大前提。

 

で、費用の負担配分については、私のなけなしの記憶を頼りにグーグル先生に聞くと、このような記事が見つかる。

www.huffingtonpost.jp

建築費3,000億円以上の試算が出たあとから、文科省と東京都で予算の押し付け合いが始まっている。これが2013年10月のこと。
記事の内容を要約すると、

  • 文科省は当初予算1,300億と言ったが、『資材や仕様によっては』最高3,000億になりますと言い出す
  • 下村大臣が、コスト下げろ、ただしデザインは生かせ、と指令
  • 猪瀬知事、1,500ぐらいでできるだろ、それなら都が負担する必要もないはず(当初予算1,300は国庫からという話が根拠だと思われる)
  • 槇文彦が「大きすぎる」と抗議(これは既に9月に発表されていた)
  • 取材されたよく知らんおっさん「未来志向でカッコイイ」とアホ発言

という感じである。

 

で、太文字にした『資材や仕様によっては』の部分の解釈が問題で、この問題をずっと追いかけている建築家、森山高至さんが2014年1月に書かれてるブログに「要するに建物じゃなくて土木だから無駄に値段が高くなってる」と指摘している。競技場には不要な耐力を持った梁(というか橋脚構造)が、建築費が高くなる諸悪の根源だという論考である。おこがましいけど私もこの論考は正しいと思う。

新国立競技場の工事費が下がらない理由|建築エコノミスト 森山のブログ

で、おそらくなのだが、文科省も下村大臣も猪瀬知事も、これをきちんと理解してなかったか、もしくは「建築費の押し付け合い」の中でお互い、理解があいまいなままに放置していたのじゃないかと邪推している。
なぜなら、こういう記事が2013年11月に出てくるから。

新国立競技場、都も建設費一部負担へ…国と合意 : スポーツ : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

下村文相と猪瀬知事の間では「建物は国、道路や公園など周辺施設の一部は都が負担」ということで折り合いがついた、とある。
建物の新築工事に付随して、周辺の歩道を整備したり公園作ったり、なんてのは、国家プロジェクトじゃなくてもありきたりの出来事なのだが、この場合の道路というのが曲者で、記事にある『千駄ヶ谷駅と敷地を結ぶ立体道路』がすでに建物の構造の一部だったりするというおぞましいザハ設計のおかげで、話がややこしくなってくる。周辺施設だけど建物本体なのだ。

なので、下村文相および森喜朗は「(本当は本体だけど)道路などの周辺施設は都が負担するって言ったろ金出せ」と言ってる、というかJSC(文科省)が言わせてるんだろう。

この辺りの、ザハの狂った案じゃなきゃ起こりえない誤解をいいことに詭弁を弄している森喜朗&下村文相、その詭弁に納得せず糾弾している枡添知事、という図式だと思う。

 

記事は続いて『今後、国と都の実務者レベルで工法や金額を話し合うことでも一致』とある。「工法」とあるから、構造の問題だということは報告されてるのではと思う。そもそも当初予算の倍になるというのは、意匠レベルではありえないし、3,000億円の見積が出ているということは、少なくとも基本設計した人と積算した人は「これ競技場じゃなくて橋だ」って気づいていたわけだし。

この時点で、設計・積算した中の人が「ばかじゃね?」って言ってくれてればなぁ…。

ちなみに、森山さんのブログにもあるのだが、ザハ案の、この構造自体は決してイノベーティブなモノでもなんでもない、ごく一般的な土木技術なのだそうだ。橋に使うなら一般的、でもそれを建築物に使うからイノベーティブという、ムジナに化かされたみたいな話である。安藤忠雄先生はムジナに騙されちゃったわけだ。

 

私は建築家・安藤忠雄を大尊敬しているのだが、大尊敬している人を「ムジナに騙された…」と言うだけの理由は、一応ある。

 

経緯は噂でしか知らないが、揉めに揉めた結果、2014年の夏にJSCは建築関係の団体への説明会という謎の会を招集している。ここからしばらくPDFの参照ばかりになります。全くお役所ってやつは。

http://www.jpnsport.go.jp/newstadium/Portals/0/oshirase/20140714/0714kentikukakyoukai.pdf

PDFなので、面白いところをコピペすると以下である。

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日本スポーツ振興センターは平成 26 年 7 月 7 日(月)、建築家会館 1 階大ホールにおいて新国立競技場に関し、建築専門家の方々への説明会を実施しました。

この説明会は、建築専門家の方々と直接話し合いを持ちたいと考え、日本建築家協会に依頼し会員に呼びかけていただき実施したもので
(略)
現在、社会で幅広く問題提起されている事柄を含め、当方の考え方を説明させて頂きました。
(略)
なお、建築専門家の槇文彦氏、大野秀敏氏、伊東豊雄氏、松隈洋氏にも呼びかけていただきましたが、出席していただくことが適いませんでした。
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最後に名前が挙がっておられる4名の建築家は、どの方も、建替え反対またはザハ案反対を明確にされて対案を発表されたりしている。そして私は、この皆さんも、安藤先生と同じぐらいに建築家として素晴らしい才能をお持ちの方で尊敬する方ばかりである。

資料の最後っ屁に「でも来てくれなかったの…」とか笑わせる。この書類を作って、最後にこの一文を入れたやつは恥を知れ。

 

で、この説明会の議事録がこちら

http://www.njr.or.jp/data/14/jsc_0707summary.pdf

大切なのは、冒頭のここ。

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新国立競技場は、2011年2月にラグビーワールドカップ 2019 日本大会成功議員連盟による決議、2011年12月に2020年オリンピック・パラリンピック大会招致に向けた国会議決がなされた事を受け、文部科学省主導でナショナルプロジェクトとして進めてきた
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JSC理事長の河野一郎の発言。ナショナルプロジェクトと言っている。
「五輪は東京でやるんだし都も費用負担しろ」という筋合いの話ではない。ソースが見つからなかったのだが、2020招致決定後の安倍首相の会見でも「東京都に最大限に協力したい」という趣旨のことを言っていた記憶がある。要するに金目で揉めなきゃ普通に協力しようねという話なのだ。そもそも国立競技場の持ち主はJSC=国で、都じゃない。国道の補修は国が、都道の補修は都がやるレベルで当たり前の話なんだけどね。

 

この議事録は読むと失笑に次ぐ失笑なので、お暇な人は読んでみてください。安藤大先生が「こんな大揉めするとは思わなかった、そもそもなんで先に他の建築団体と調整してなかったんだ、調整してないやつがわるい、おれわるくない」と怒っておられる様子がとてもファニーです。

 

で、説明会をうけて、建築主要団体の皆さんからの質問状が出ている。こちら

http://www.njr.or.jp/data/14/jsc_0717inquiry.pdf

を、私が勝手に超意訳したのが下。

  • こんな馬鹿でかいの、そもそも需要あんの?ホントに調べた?
  • 予算が上振れすぎじゃね?
  • 維持管理費って知ってる?
  • そもそも改修工事との比較とか、まともにやったの?
  • つかおれたち、あんたらが、そういうの指摘されるのいやだから前倒しで解体したんじゃないかって疑ってるんだけど。

という内容である。超意訳ですみません。
全員押印付きという謎の本気度。押印付きなのでPDFも、今時まさかの「スキャナーで読み込んだものをアップ」である。

 

で、JSCがリリースしているこの質問状に対する回答がこちら。
これが2014年8月に出ている。

http://www.jpnsport.go.jp/newstadium/Portals/0/oshirase/20140808_answer.pdf

またしても失笑に次ぐ失笑の回答書なので、問題の費用負担のところだけ。

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なお、新国立競技場の建設費については、その費用負担について、文部科学省が関係機関と調整中と聞いており、今後、政府部内において、調整が行われることとなります。
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予算と費用負担は文科省が責任者、政府部内で調整する、という話になっていて、東京都なんてどこにも出てこない。
まぁ、冒頭に示した、2013年秋ごろの「東京都も一部道路などを負担して」という話が前提にあっての「関係機関」なのだとは思うが、それが本当に下村文相や森喜朗が勘違いしている通り、既に両者合意が取れている決定事項なんだったら、「関係機関」なんてぬるっと書かないで「東京都はじめ関係機関と」とか書いて当然のところだ。それが役人仕事である。
でもできなかったんだろうなー。だってすでに大揉めだもの。調整できないことを明文化しないのが役人でもあるので。

 

さらに追加質問と追加の会議が開催されていて、議事録もアップされているので自分の備忘録のためにも、貼っとく。

http://www.jpnsport.go.jp/newstadium/Portals/0/oshirase/20141030_0908setsumeikai_gaiyou_shiryou/20141030_1_gaiyou.pdf

かなり専門的な内容の応酬をしているので、先の森山さんのブログ読んだ方が分かりやすいです。 

 

この一連の質問書や意見書は、「コンペの時から、俺たち(建築関連業界団体)を無視して勝手に色々進められちゃってよう」的なメンツ問題がちょっとは含有されているんだろうなーという気はしているのだが、そういうメンツ以上に、「お前ら(JSC)、まじめにやる気あんのか」という、建築士団体からの魂の叫びでもあると思う。

一連のやり取りは、JSCのサイトのここ
http://www.jpnsport.go.jp/newstadium/tabid/367/Default.aspx
およびここ(建築士事務所協会)http://www.njr.or.jp/list/news/2014/ である程度追えます。

 

そもそもこういう説明会が必要になること自体が「だっせー」のであるが、それが、ばかげた予算が話題になって、おさいふが間に合わなくなってから始めて召集、というのが「超、だっせー」のである。

 

さらっと、私が記憶してるところだけ、さらっとまとめても、やっぱり下村&森の言ってることは、まったく理解できんですよ。