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長い感想

100文字では足りなかった時に

オリンピックが悪いわけじゃなくて。2500億という価格以外の新国立競技場の問題

長すぎるブクマ的なもの

何だか、引用元を明示せず転用の写真ばかりの割には、どやっと感満載のブログがホテントリしてたので、軽くイラッとした朝。

さあ、地獄のオリンピック跡地めぐりを始めよう。 - Everyone says I love you !

 

どうせなら、上手く行ったオリンピック跡地も転用でもいいからまとめてくれたらいいのに、とも思うのですが、それは*1同ブログで検証されることはない気がしたので、差し出がましいようですが、取りあえずぐぐったら一番上に見つかった大和総研さんのレポートのリンクを貼っておきます。

≪実践≫公共インフラ関連ビジネス
事例に学ぶオリンピック開催跡地の有効活用
シドニー大会・ロンドン大会にみる跡地の永続的視点
http://www.dir.co.jp/consulting/theme_rpt/public_rpt/olympic/20140217_008221.pdf

 

短いレポートですが、レポート中に出ている固有名詞やリンクを辿れば、なんとなく「シドニーは頑張ってる」「ロンドンは上手くやりやがったな」というのが分かると思いますので、興味のある方はどうぞ。

シドニー、ロンドンについては、都市計画及び公共インフラ整備業界では「割と上手く行ってる方」としてまぁ有名です。アトランタに関しては評価が分かれる部分もありますが。まぁそれを言うならロンドンもシドニーも、もちろん賛否はありましたし今でもありますね。

 

去年、シドニーオリンピックの施設設計に携わった人とお話する機会があって、色々面白い話を聞けた。シドニーは成功プロジェクト、とは言うものの、現実的にはオリンピック公園の再整備事業は、長期的なプロジェクトとはいえなかなか施設整備費を楽に償還できますというレベルの利益を生み出せるところまではまだ行っていないそうだ。もちろん公共公園やスポーツ施設は利潤だけを追求する類の施設ではないので、そこだけが目標なわけではない。それに、目的に沿って適切な再整備や追加投資が行われていて「生きてる」公園として機能している。
私も見に行ったんだけど、感覚的には、駒沢オリンピック公園とか万博公園とか、そういう感じの「今日はちょっと万博公園行って遊ぼうや(大阪弁)」「今日はクリケットの試合を見に行くんだルー(シドニー弁)」的に、親しみをもって使われている様子で、良い公園だった。

で、その方とお話していて、東京の計画についてどう思います?と聞いたら、建物がうんぬん以前に、とても気になることがあると言っていた。それをまとめるとこの4つぐらいになる。

  • メインの陸上競技場のすぐ脇にサブトラックがないと、そもそも競技不可能なはずなんだよね。IOCの基準に抵触してると思うんだけど、どうやって用意するつもりなんだろう。遠い場所じゃ、選手には良いことはひとつもないよ
    地下掘るのかな。日本の夏は暑いからいっそ地下で本競技やったほうがいいかもねhahaha!
  • 10万人が集まるスタジアムの周囲には、同数か少なく見積もっても2/3ぐらいの人間が滞留できる平面スペースが要るんだよ。競技と競技の間に観客を入れ替わらせなきゃいけないだろう?スペースがないとスタジアムの前で将棋倒しが起きちゃうよ!でもどう考えてもそんなスペースなさそうだよねhahaha!
    実はリオ五輪のサッカー決勝会場は日本よりもっと狭いんだよ!何か起こらなきゃいいんだけど…
  • 観客の滞留スペースもないのに、物資の搬入経路や選手の入退出の動線も分けて確保するのは難しそうだよね。10万人が半日滞在するスタジアムの中ではたくさんの人に働いてもらう必要があるし、消費される食べ物の量もハンパないよ!
    あんなところでサッカーの決勝戦なんてやったらパニックになるんじゃないかなhahaha!
  • そもそもあのプロジェクト、そのまま作っちゃうと相当維持費がかかりそうだよね。あのアーチで支える構造、アーチが痛んだらどうするつもりなのかね、怖いよねーhahaha!

確かに、私が月に1度ぐらい一喜一憂しに行ってる日産スタジアム(7.5万人)の周りは、割と馬鹿でかい広大な通路が2層にぐるりと取り巻いているし、観客にとってのメインゲート(東口上層)と選手バスや物資トラックの搬入経路(北口下層)にきれいに分かれている。それが可能なのは、日産スタジアムの周りには四方ほぼぐるりと道路があるので、スタジアムと道路との取り付き口が複数確保できるからだ。もちろん国立競技場のまわりもぐるりと道路があるが、おそらく外苑側からの動線はオリンピック中は安全のため封鎖されると思うので、主要な取り付き口は限られるのではないかと思う。駅前で便利じゃんと思ったけど駅が近いのが逆に動線確保を難しくする可能性も高いと思う*2。駅に通じる動線が短くて、スカイウォークを作るにもバッファーとして足りないのではないか。いやこの辺は実際の基本設計を見てないので断言はできませんけど。

 

ちなみに、オーストラリアといえばラグビーだと思い込んでいたのだけれど、人気スポーツはラグビーだけじゃなくてクリケットとかテニスも大変盛んだそう。
まあその辺までは「英連邦だものね」と予想がつくが、英連邦だけのお楽しみ「コモンウェルスゲームス」という大会があって、英連邦版ミニオリンピックといった様相で、スポーツ好きのオーストラリアンはかなり楽しみにしているそうです。知らなかったなぁ。

そしてオーストラリアといえばのラグビーも、日本のスタンダード15人制よりも、ラグビーリーグ(13人制)の方が人気が高いんですって。タックル禁止で機動力が高い早いラグビーが見られる、野性味あふれるアメフトというかサッカーとラグビーの間というか、とにかくとても面白い競技だった。オーストラリアでは大人気でプロリーグもある。あとは、何度説明をされても理解できなかったんだけど、ラグビークリケットみたいな競技も凄く人気が高くて、こちらもプロリーグがあるとのこと。多分、野球がない国の人が野球のルール説明されるとこんな気持ちになるんだろうと思う。

いやホント、知ってるようで知らないな、私だけか知らないのは。
しかしオーストラリアンはラグビーがホント好きだな。オーストラリア大陸で独自の生態系が生まれた的に、ラグビーから派生してるスポーツがたくさんあるらしい。豊かだなぁ、としみじみ。
私はサッカーが大好物なので、ウェスタンシドニーワンダラーズのシンジオノはどうです?!って詰め寄ったんだけど、その人は自分でセブンスラグビーチームを作ってるほどラグビー好きな人でサッカーはあんまり見ていないのでごめんねヨクワカラナイ、と。ただ、Aリーグの戦略(客寄せ用のスター選手はリーグが獲得予算を一部補助する)は上手く行っていて、サッカーに話題を集める助けになってるよーとのことだった。サッカールー*3が世代交代に苦しんでいる話では盛り上がった。どの国でもサッカーの代表チームは人気があるもんだなとしみじみ。

 

だいぶん、話がそれてしまったが。

オリンピックスタジアムなんて、そんな金を使うなら貧困対策しろとか、結局施政者が貧民窟の掃除をしたがってるだけじゃないかとか、そういうのは本当に正しい意見で正しい批判だ。
正しい批判だけど、私自身はそれほど正しい人間じゃなく、むしろ怠惰で邪悪で利己的な部分が大きい人間なので、浪費を厭わず特別な娯楽を楽しみたいという気持ちが消えがたい。なので、オリンピックぐらいやってもいいじゃないのよと思う立場である。 

そして、国立競技場に関しても、最近よくTVでもお見かけする森山さん始め多くの方が耐震性もオッケーだったはずだとおっしゃっているが、年に何回か国立競技場に出かけてサッカーやらラグビーやらを見ていた立場からすると、「これはもう壊して建て直した方がいいだろうなぁ…」という気持ちはあった*4から、建替えは賛成なんですよ。ただ、値段が法外すぎることが「ありえへーん!」のである。おまけに法外なカネをかけて、上記のシドニーオリンピックの施設設計をした方の話をすべて鵜呑みにすれば、「なにやら競技場としても割と使い物にならなそうな」「10万人入れたら観客のコントロールができなくなる可能性がある」ものを作ろうとしてるわけだ。

 

シドニーもロンドンも、そしてアトランタも、共通するのは、古くなったり、歴史の趨勢によって機能が使われなくなってしまって割とどうしようもなくなってる市街地を再開発するために、オリンピックをうまく使ったというところだ。
都市部に効率よく使用されていない場所がある、というのは、どうも、そこで働いたり寝たり起きたりする人の心持ちにあまり良い影響を与えないように思う。この辺は、規模こそ違えど地方都市のシャッター商店街とかと心理作用は似てるんじゃないかと想像している。そういうのを研究してる人もいるみたいなので異論反論はあるかと思いますが。

翻って東京は、もう「どうしようもない場所」ってほとんど残ってない*5ので、再開発とオリンピック、という題目はいまいちそぐわない。

なので東京2020の誘致コンペでも、都市の再生ということではなく、昔のオリンピックの施設がボロボロになってるので、更新して未来のスポーツ振興や文化・交流に役立てましょう、的な立て付けにしていた。それが、JOCが言ってる『レガシーの承継』なわけだけど、じゃあその『レガシーの承継』は誰のためのものか、という話なのだ。

要するに、森喜朗の銅像代わりになるのは御免蒙るという話である。相場の2倍以上の馬鹿な値段をかけて何が楽しくて森喜朗の示威行為の片棒を担いでんだ文科省も。言っちゃなんだが金正日と発想は全く一緒だろうな。 

 

このところの新国立競技場関連のニュースを読むと、結局、文科省もJSCも、「施設建築費を償還しよう」という発想がゼロすぎて、あいた口がふさがらない。道路行政関連で国交省がさんざん槍玉にあがったわけだが、それを文科省は他山の石とはできなかったわけだ。
JSCの試算だと年間の維持管理費すら、皮算用といったらタヌキに怒られそうな皮算用による収入予測ですら賄えていない*6。JSCは、甘々の皮算用でもそろばんが合わないもんだから「じゃあ運営は民間に委託するん…」とか言い出してるんだから、ほんとあいつらの首全員跳ねて首塚にでもすればいいんじゃないか。

*1:ブログ主の方のエントリを見ると「オリンピックは反対以外の立場はありえない」という様子がしないでもない

*2:付随して考えると、テロ対策とか考えるとおそらくオリンピック期間中は大江戸線の国立競技場前駅とメトロの外苑前駅は封鎖されちゃうんだろうな…具体的に考えれば考えるほど、こりゃオリンピック大丈夫かねって思えてくる。ロンドンの時も交通規制がかかって色々大変だったらしいしね…

*3:オーストラリア代表のことをカンガルーにかけてサッカールーズいう愛称をつけている。よく飛ぶハイボールサッカーするからかな。ちなみにラグビーユニオン(15人制)のオーストラリア代表はワラビーズ。どっちもかわいいなー。サムライブルーなんて名前よりずっと親しみがあってよい。なでしこはとても良い名前だと思うけど、サムライブルーって。そんな変な名前だからハリルジャパンとか人様の名前を中途半端にぶったぎる羽目になるんだ。

*4:椅子席の間隔やトイレとか壊滅的に狭くてなぁ。おまけにトイレの壁はコンクリブロックの打ちっぱなし?だった。狭いから外装リニューアルにも限界があったと思う

*5:実は重大に深刻な問題を抱えている街ではあるんだけど。例えば、都心東部の小さいビルが密集している辺りや、豊島中野杉並練馬北あたりに点在する、城西の4m以下の道路ばかりの木造住宅の密集地辺りは、大規模な地震が起きたら阿鼻叫喚になる可能性が少なくない。が、その辺は、たかがオリンピックごときのレバレッジではどうにも動かないと思うので…。東京は地価が高すぎるね。

*6:プロチームのフランチャイジーの目途もついてない巨大スポーツ施設が簡単に収入を得られると思ってるのだからおめでたいし、芝生の育成や張替とか全く考慮していない年間想定使用スケジュールとかへそが茶を沸かすレベル。巨人が移転するかとかFC東京がとかいう記事があったが、あれは観測気球的な記事だと思っている。