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長い感想

100文字では足りなかった時に

灼熱の東京都現代美術館で、南半球に思いを馳せてきた

ゲージュツ

オスカー・ニーマイヤー展。やっと行ってきた。暑かったよ道のりが。歩いて行ったんだからなにしろ。

模型いまいちとかそういう話を、行った人から聞いていたのだが、新国立競技場問題もあって、建築の、モニュメント性とかデザインとか、そういうものが気になっていたり、あと、ものの本や雑誌の特集などを読んでもイマイチ捕まえられなかったブラジリアと、ブラジリアを作った男の謎について、端っこ辺りは捕まえられたような気がするので、とても楽しめた次第です。模型はたしかに一部、もうちょっとこう、お金かけたってよかろうもん、と思わないでもなかったが。あと、これ去年のワールドカップの前にやってくれた良かったのになー。ベッロオリゾンテの礼拝堂とかさー。試合を見ながら色々思えたのにな。

 

私はばかものなので、ブラジルの歴史とかブラジリアの成り立ちとか、ブラジリアの印象的な街の風景や、オスカー・ニーマイヤーという建築家に付けられがちな修飾語とか、そういうのが、バラバラの脳内フォルダにあまり検索しやすくないファイル名を付けて保存されていた。
高校の世界史のフォルダとか、建築美術の写真集とか、昔見た映画とか、そういうバラバラのフォルダに入ってたものが、この展覧会のいくつかの印象的な建築物の模型や並べられた美しい建築写真の数々を眺めたり案内や映像を堪能したことで、かしっと、うまいことはまった感じである。よかった。

何しろぼんやりしているので、ブラジリアという超人工都市でいたって抽象的で不思議としか言いようがない曲線を描く建物を作った男、というのと、亡命してフランス共産党本部の建物を作った男、というのがイマイチくっついてなかった模様である。ブラジル現代史の一端もちょっとだけ覗けてラッキーであった。

 

オスカー・ニーマイヤーの作る「形」について。

何度でも言うがばかものである私の、ブラジリア=人工都市だと思い込んでるアタマで写真を見たら抽象物のように見えるけど、ただ単に抽象的であるわけじゃないのね。
妙に印象的な曲線は自然の造形をミニマルにしたものだと言われるともうすごくなるほどと思う。あの、おわんと、伏せたおわんと、モノリスみたいな国会議事堂も、アザミの花が咲いたような教会も、そうですかそうですかと、物凄く納得してしまった。なーんだそうか。いやほんと建築家って面白い仕事だ。本当に面白い仕事だと思うわ。

それと、ブラジルという国、ブラジリアという場所であるということ。

ブラジルの、空気と空がパッキリと分かれてる環境とか、人工都市だからこそ自然から得られた曲線が映えるのだろうとか、広大な平地に切り開いたブラジリアの地形特性なんかもあるね。あれをそのまま、例えばリオデジャネイロやパリなんかではやれないよな。建造物のファサードにぬめっとした曲線を見せるぐらいが、せいぜいだと思う。

あそこまで「やりきった」形を作るには、やっぱり既存の街があるところではやりづらいんじゃないかとか(なので、新国立競技場は私はやっぱりザハの案はすんごく気持ち悪いと感じる。あくまでも私見ですけど。)。

 

展覧会の超私的余得としては、カエターノ・ヴェローゾである。中南米ミュージック大好物なのだが、カエターノ・ヴェローゾについては、どの棚に仕舞っておくのがしっくりくるのか、どの棚に入れてもしっくりこないな、と思いつつ、ワールドミュージックの棚の、ジョアン・ジルベルトの隣のジルベルト・ジルの隣に、でもなんか違くないかなとか思いながら置いていた。
だって、トロピカリアと言いつつあんまりトロピカルに聞こえないというか、ブラジルというよりアルゼンチンぽくない?とか、ちょっと都会ぽいんだよなーとか、思いつつも好きなもんで良く聞いてたんだけど、置いておく棚について何となくしっくりこないなぁと思っていたんですよ。
それは要するに、サンバの国であってブラジリアという実験都市を作っちゃう国で、敬虔なカソリック教徒が山ほどいる国で、人種のるつぼすぎる国で、サッカー大好きな国、っていうただでさえ多様性ありすぎなイメージの中で、あの人が一番、ブラジルの南洋性(トロピカリア)から一番遠いとこにいませんかねって思ってたんだけど。

オスカー・ニーマイヤー展見て、なんかブラジルの「現代的なるもの」がすとんと腑に落ちてしまったので、堂々とジルベルト・ジルとかゲッツ/ジルベルトとかと同じ引き出しに引き続き入れていこうと思います。

 

おまけ

  • セット券があったので、コレクション展と、話題?になっていた企画展「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」もあわせて見てきた。
  • 一日中、美術館の中にいたような感覚である。2時間ぐらいで見られる企画展が4ケというのは、集中が続かないばかもの(私)にとってはかなり良い方法であった。
  • きかんしゃトーマスは見てません。見たかったけど、まぁいいかということで。
  • ただしコレクション展。椅子がぜんぜんなくて困ったわよ。椅子、置いておいてよー。途中でとどまって脳みそを整理したり、したいじゃないのよ。
  • コレクション展のテーマが戦後美術なんだけどさ。WWⅡが芸術家に何を描かせたかとかそういう展示してるくせに会田誠のアレはダメなのな。変なの。
  • 会田誠は真面目だね。現代美術界でいちばん生真面目な人なのではないかという思いを新たにした。真面目だわあの人。真面目な人特有の切り口だし、真面目な人特有のスベり方もする。愛おしくなってきた。
  • 4つも企画展するんなら、美術館の中にもう一つぐらいカフェというかコーヒーショップみたいなのが欲しいな。何しろ現代美術館の周りには何もないから。
  • サードウエーブとか、どうでもいいんですよ何しろ暑いんで。