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長い感想

100文字では足りなかった時に

だからスカパー!には入った方がいい

Jリーグ サッカー

サッカー好きの心の支え、スカパー!さんにはいつもお世話になっております。

私は、電車乗って小一時間ぐらいのところに贔屓のJクラブのホームスタジアムがあるので観戦環境は悪くないのだが、何だかんだで時間がとれなくて(サッカー見に行くと半日以上取られてしまうので)、スカパーでじとーっと見られるのがありがたい。あとは見に行った試合も反芻して、嬉しい試合ならニヤニヤしたり、切ない試合ならまぁ、うん、あーそう、とがっくりしたりしている。あとJ2、J3の試合は、試合結果だけでさえ首都圏地上波で目にすることは不可能なので、スカパー!さん、どうもありがとうという感謝の念である。海外サッカーも、まぁ海外サッカーファンからすると「日本人選手中心でうぜえんだよう」と言いたくなるむきもあろうが、割とちゃんと放送してくれるので偉いと思う。ただ私は睡眠時間の関係で今は海外サッカーは契約してないけど。

 

で、スカパー!の良いのは、試合中継だけでなくて、定期的に自社制作のサッカードキュメンタリーをやっているところだ*1
今季おもしろかったのは、岡ちゃんこと岡田武史さんがオーナーになったFC今治のドキュメンタリーである。いやまぁ、FC今治の、というか岡ちゃんのドキュメンタリーだなこれは。ちょっと言い過ぎた。

 

岡ちゃんといえば、スカウティング力の高さとパスサッカーへの情熱のから回り方でおなじみである。そして私の脳内の「強いマリノス」幻想wを作った人でもある。

岡ちゃんが監督をしていた時のマリノスは本当に勝負強い、どの試合も手に汗握る試合だった。何十試合の半分くらいは、今でも「あれってああいう試合だったよね」と酒の場で盛り上がれるぐらいの濃い試合だらけだった。そして松田の使い方が一番上手な監督は岡ちゃんだと今でも思っている。

岡ちゃんは、手駒(選手)の使い方がとても上手い。それは恐らく、個々の選手の良さを見るのがとても上手だからだと思う。選手のことをよく見抜けるから相手チームのスカウティングも上手いわけで。戦術家というよりも戦略家というか。

一方で、岡ちゃんは「攻撃的パスサッカー」を指向し出すとへろへろと弱いチームを作ってしまう。これはマリノスでも代表でも同じ。札幌とかでもそうだったかな。杭州緑城でもパスサッカーをやろうとして、そこそこの結果になってたりする。

そんな岡ちゃんであるが、パスサッカーへのあくなき情熱の火を絶やしてはいない。色々経験を重ね熟考した結果、日本サッカーが本当に強くなるにはパスサッカー以外ない、という結論に達しているからだ。これはハラヒロミさんもそうだし、オシムさんなんかも同じことを言ってるので、割と確かなとこだという気がする。私もそう思う*2

 

で、どうも今治を、言葉は悪いけど実験場にして「岡田流パスサッカーメソッド」を作ることにしたらしい。大木さんは今、何してるんだろうなとか思ったら岡ちゃんの下に居た。その他、U17代表の監督だった吉武さんとか、JFAの技術委員だった真藤さんとか、スペイン人コーチとか、パスサッカー馬鹿一代なおっさんたちを集めて何やら楽しそうである。

吉武さんのインタビューがすごい良い。

  みんなの意見をあーでもないこーでもないと出しながら、
  みんな楽しそうにやっている。
  こんなこといつまでも話せるなぁと周りの人は思ってるんだろうが、
  楽しくてたまんないんですよ

どんなコーチが来ても「岡田メソッド」を理解してもらえるようなマニュアルを作っているらしい。「突破」という言葉と「越える」という言葉の、コーチ時の意味は違うのではないかとか、そんな話をしていた。5時間も会議やってんだってさ。ばかだなー(すごく良い意味で)。
5時間会議やってあげくの岡ちゃんの言葉が

  こうやって考えれば考えるほど、サッカーってシンプルでさ
  ”パスコース”と”ドリブル”と”数的優位”しかないんじゃない?

である。おう、おっさんずいぶん楽しそうやな。

このおっさんたちは、今治に一軒家を借りて共同生活をしているらしい。まぁそれぞれホームグラウンドがあり別に家がある人たちだから、毎日同じ釜の飯を食ってるというとこまではないだろうけど、なんだよこの青春感は。ゴミ捨てルールを話し合うおっさんたち、ベッドのシーツをかけ間違えてきゃっきゃするおっさんたち。

おっさんの青春ドキュメンタリー。

 

今治での講演会で岡ちゃんは「10年かかっても1からできるところないか、と探したら…」と言っている。今治のサポーターは「正直、今までは何それ?だったんだけど岡田さんが来てから知名度がすごく上がって」と言う。客寄せオーナーと実験場のバーター取引という趣である。

ところが、岡ちゃんが大量のスポンサーと一緒に襲来したからといって、さあ来年はJFLですよ、とは簡単にはならないのが、日本サッカーの「今」である。ピラミッドの中腹から下がどんどん広がり厚みを増している最中だからだと思う*3。8月頭での四国一部リーグでのFC今治の成績は3位である。

私はさすがにJFLや四国リーグにまでチェックの目を行き届かせられない一般人なのでうっすらとしか知らなかったが、今、実は四国サッカーは高知が躍進していて、四国リーグで今治はトップではないのだ。いやしかし高知熱いな笑。

 

岡ちゃん監督は、2012-2013の2シーズン、杭州緑城で監督をしていた。なぜ?というと、日本サッカーを強くするためには、ライバルである東アジア全体のレベルを上げなきゃどうもならん、ということらしい。これもハラヒロミさんも言ってたね。日本代表が国際試合ができる相手はどうしても東アジア~アジア地域のチームが多くなってしまう。アジアのサッカーはほとんどの国がカウンタースタイルである。東アジア杯を見てもW杯アジア予選を見ても分かるように、日本と対戦する時には独特の「対日本戦略」というか、まぁがっちりブロック作って守って、前後分断したサッカーでしつこく放り込んどけばポロっとやらかすからなあいつら、という感じの消耗戦をさせられる*4

たぶん、岡ちゃんは、カウンター戦術のチーム作らせたら今の代表でも今治でも、相当「嫌らしく強いチーム」を作るのは難しくないんじゃないかと思う。でも、「そういうチーム」をどんなに突き詰めても、日本代表は恐らく、一定以上強いチームには勝てないだろう。

で、中国に行って東アジアのサッカーの現場を底上げしたいなと思ったり、今治の株を半分以上引き受けて(2,000万円くらいの金を突っ込んでいることに)、地方から「ジャパン・メソッド」を作ろうとしていたりする。

 

変なおっさんである。

言っては何だけど、見た目と生き方のギャップがすごい。いやホント言ってはダメなこと言ってるけどさ。見た目は「一昔前のアメリカ映画に出てくる日本人観光客のステレオタイプ」みたいなんだけど、中身はすごく情熱的でドライで、サッカー愛にあふれている。
岡ちゃん監督は、マリノスで連続優勝して、次のシーズンにはパスサッカーにトライしてぽろっぽろになって解任されたという経緯がある*5。ぽろっぽろになったあのシーズンに居た選手で岡ちゃんを悪く言う人はいない。南アフリカW杯でも、その前フランスの時のチームでも、まぁ個別に文句言いたい選手もいたろうとはもちろん思うけど。

あの人、指導に付いた選手から見るとモチベーター系の監督らしいのだ。メガネの似合うっぷりとか言ってる事を聞いていると理論派に見えるんだけど。ギャップの魅力である。

 

岡ちゃんはW杯の時は「稼ぎ時」だから現場の仕事はやらない、という冗談ともつかないようなことを言っていたので、去年は解説やらなんやらで稼いだんじゃないかと思う。それで、選んだ次の「やりたいこと」がまさかの地域リーグのそれもオーナーだった。今、日本で一番、日本サッカーを強くさせようと一生懸命なのは岡田さんなんじゃないかなって、ちょっと思ったりする。二番目は松木安太郎だと思う。

 

というわけで、何が言いたいかと言うと、サッカー好きなら、日本代表強くなればいいのになって思う人はスカパー入ると、日本サッカーの役にも立つし、変なおっさんのドキュメンタリーも見られるし、Jリーグも見放題だしで、色々おススメですよという話です。

*1:あとクラブ応援番組という、クラブごとのPR番組を作ってたりする

*2:オシムさんが以前TVのインタビューで、FWに納めさせてから仕掛けるとか、FWに一発を決めてほしければ、今のままじゃダメ。日本人女性がバロテッリとかと結婚してその子供に期待するしかない笑、という冗談を言っていたんだけど、それは冗談じゃなくてほんとそうだべな、と思ったりする。そして例えばジャマイカ人と日本人のハーフである鈴木武蔵バロテッリスタイルのFWになれそうかと言うとそうでもなくて、かなり日本的FWになりつつあるのを考えても、強いFWが生まれるのはDNAだけが条件でもないのかもと思ったりもする。風土とかそういうもんもありそうというか…

*3:東京都リーグも超群雄割拠である。知人で都二部の某クラブの監督をやってる人がいてしみじみとつぶやいていたよ

*4:この消耗戦戦術が上手いのは反町さんである。反町さんが作ったチームと対戦すると、我が軍は虫の息のようにさせられることが多い

*5:なので岡ちゃん監督のことを悪く言う残念なサポーターもいたりするらしい。残念な人はサッカーのサポーターに限らずどこを切り取っても一定数いるので放っておけばよいようなものであるが