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長い感想

100文字では足りなかった時に

2020東京五輪のごたごたについて、ちょっと気になったことをダラダラとメモ

長すぎるブクマ的なもの

新国立競技場まわりのごたごたについては、私も先だって色々ぷんぷん怒っていた上に、一応予算上限はできたような気がするがその予算上限と与件のバランスとれてます?みたいな怪しい雲行きである。そして、エンブレムも燃え落ちた今日。

 

エンブレムについては、個人的に佐野さんというデザイナーにあんまり興味がなかったせいもあって、「あーあ、やっちまったなー」程度で、あんまりよく分かってないかもしれないが、「亀倉デザインを踏襲して」というお題?がそもそも鬼畜だと思う。あれに勝てるデザインできる人、いないでしょう*1

それに輪をかけて残念だったのはご本人の釈明会見。コンセプトがあるんだオリジナルなクリエイティブだと言うのは分かる(し、本当にオリジナルに頑張って作ったのだろうと思いたい)。でも、そもそもTの文字を翻案してデザイン化という狭いレンジで、さらに亀倉性とか言われて方向性限られてるから、似てるものなんていくらだってありえるだろう。あれ、どう考えても似てたし。似てないって言い切るの、筋悪かったと思う。

「こういう風に考えて作ったんです。真似してないです。結果的に似たとしても偶然です」ぐらいにしとけばよかったかなぁ。でもそうすると訴訟で不利になったりしたのかだろうか。
ロゴやエンブレムなんてよくある感じのほうが愛されやすいと、中島みゆきも歌ってるしさ。たまたま似ちゃった。みんなが愛するデザインになるね!ぐらいに流せなかったのかなぁ、ダメか。やっぱり組織委員会まともに仕事しろよなって腹が立ってくる。

 

で、なんか、構造が一緒なんだよなぁ。 新国立競技場のごたごたと。
ひとつは、どっかの記事にブコメったのだけれど、「人選ミス力」がすごく高いこと。
新国立については、安藤先生がデザイン責任者なのは納得としても、物のわかるサポートというか安藤センセの首に鈴付ける係が居なきゃだめだった。安藤先生にプロジェクト決定までの実務を期待するのはスキームとして欠陥があるからだ。安藤先生に能力が足りないわけではなく、相反関係にあるデザインとコストの間を取る役割が必要なはずだったのだ。

で、エンブレムの件もちょっと似てる。仕切りが悪いし組織委員会が仕事してない。コンペもクローズすぎるし、選ぶ人も選ばれる人も身内だらけの欠陥スキームだ。

 

佐野さんがザハだとすると、永井さんが安藤先生の役、JSC=五輪組織委員会。

 

で、なんでこういうことになっちゃうのか、陰謀論とかこれだから日本人はみたいなシニカルな定型句は色んな人が思いそうなので、物凄くニッチで具体的なところで思いついたことメモをだらだらと。

 

■イベント遂行力がある「働き盛り」が育ってない

四半世紀もずっと不景気で税金たくさん使うお祭りなんてご法度だったので、突然五輪やりますと言われてもノウハウが枯れていたのでは、という疑惑。
官邸サイドは、ここで東京に都市整備投資を増やさせないと日本全体が世界から置いてかれてジリ貧になっちゃうという焦りがあるんだろうと思う*2。それで東京五輪を爆推ししてたわけだけど、それを推進する人(現場の官僚+その他もろもろの人)たちの中身はすっかり空洞化して、組織を作り運営し、転がしていく能力がないのではないか。25年間、日本は「育てる」というタスクをすべて放棄してきた。問題は少子化だけじゃなくて、25年間も社会を推進させることを放置していると、子供だけじゃなくて大人も成熟しない。

私は氷河期第一世代なんだけど、インフラ系とか基幹系、マスメディアあたりの「旧産業」に勤めてる同期が言うのは「若ぇ頃からバブルの後処理ばかりやらされて、イチからきちんと仕事を組み立ててきた経験があまりない…」という悩みである。40前後の働き盛りがこれだものなぁ…。そういえば佐野さんも同世代である。
ついでにいうと我々氷河期~BB2世代は、コンピュータやインターネットに関するリテラシーにかなりばらつきがある。ぬるっとぼんやりしたままの人と、若い頃はガリッとかじったもののそのまま情報更新されてない人、ものごっつ詳しくてその道の権威になっちゃってる人、本当にバラバラである。個人的には佐野さんは2つめに当て嵌まるのではと邪推している。カジュアルなネットからの画像パクリとか、いかにも半可通と言う感じなので。

 

■現場が疲弊しつくしてることに、上の人たちが気付いてない

H堂界隈で仕事の経験がないのであくまでも邪推なんだけど、私が知る限り、広告制作の現場ってかなり疲弊している。「もっと安く、もっと具体的な結果を出せ」と言われ続けているし、広告費用自体も、グラフィックデザイン&既存メディアから、webサイト&web媒体の方に予算がスライドしている。佐野さんのキャリアを見ると、多作だなぁすごいなあと思うが、一方で、昨今の予算配分なんかを見る限りでは、グラフィック中心の事務所だと、数こなさないと事務所が回らなかったってこともありうるんじゃないかという気もする。もちろん外野の邪推ですので当てにはなりませんが。
いろんなパクリ疑惑を見て「なんで、この程度のもんを、ちゃんと権利クリアにするなり自分で撮るなり書くなりしないんだよぉぉ…」と両肩脱臼レベルに脱力する日々ではあったが、思いきり善意に解釈すれば、「それだけ金がない」「その時間がない」「人手がない」という可能性もゼロではないかなぁ…と。

まぁ、この邪推の補助線をずーっと伸ばしていくと、「今の日本が五輪をやるのは(力不足では…)」という命題にもつながるんだけど。

 

■人選が内向きになっているのは、安倍政権的な何かとも関係あるだろうか

新国立の時も思ったんですけど、どうも、そもそも「選ぶ側」の人選が内向きなのである。広く開かれていない。安倍内閣の組閣に似ている。あれ、みんな新興宗教に入信してる感じするでしょ(個人の意見です)。

内向きの人選の一番宜しくないポイントは、状況の変化に対応しにくいところだ。責任ゼロの外野から見りゃ、今回のエンブレムの件も、利害関係が異なる人が混じった組織であればサントリーのノベルティの件で佐野さんの事務所が商品の取り下げをしたところで決断できただろうと感じる。これも新国立と一緒で、内向きの仲間を揃えた会議では決断はとてもしにくくなる。身内を切らなきゃいけなくなるからな。
全員の利害関係は一致していない方がリスクを減らして進めやすくなる。同床異夢ぐらいが、緊張感もあってちょうど良いと個人的には思う。利害関係が同じ人しか乗ってない船は、船底に一つ穴が開いただけで船荷も乗客も船も全部助からないパターンなのは、70年前に私たちの国は経験しているらしいし。

 

■匿名インターネッツの“正義の嫉妬、ってもう古い

単純に、ネット使ってる人なんて当たり前すぎて属性ではくくれなくなっているし、「匿名だけどプロ」とか「ほぼ実名みたいな匿名=PN的なプロ」とかもうろうろしていて、プロのまっとうな意見や信憑性の高そうな情報も出てきたりする。
mixi、ブログ、twitterFacebookなどを経て「意見を披露する文化」が一般化していることもあるし、悪名高きはてな以外にも笑「ニュースや情報にちょっとピリッといじわるな一言を添えてやろう」という使い方をtwitterやFBでしている人も多い。NHKも夜中のニュースでtwitterの反応を流すという白痴ぽいニュースやってるけども、ああいう情報の受け方が一つのフォーマットとして定着しちゃってる以上「匿名は一律卑怯者だから無視してオッケー」とは言い切れなくなってると思う。全ての発言はあらゆる方向から突っ込まれる可能性を秘めているのだ。もちろん私のこの文章も。
もっとも、ネットを漂流しているほとんどの情報はノイズでしかないようなものだし、そのノイズのほとんどは醜悪なるまとめサイトが垂れ流してるのは事実だけど、「醜悪なまとめサイトに乗ってる=すべて無視してオッケーなノイズ」という脊髄反射ができる時期でもないような気がする。にちゃんねる全盛期などを考えると、3回転ぐらい回ってる感あるけど。
どういう方向にせよ脊髄反射はあまり宜しくない。もっと前頭葉を積極的に使っていきたい。

 

■そもそも佐野さんって、コラージュ型というかパスティーシュ型というかそういう作風じゃね?問題

ニャンまげとかまさにそうだと思うんだけど。あとLismo! のリスのあしらいとか。wikipediaレベルでポートフォリオいくつか思い出しても、新奇なオリジナルと言うよりは師匠(大貫さん、佐藤さん)の影が見えるようなものも結構あるけども。要するに何が言いたいかと言うと、新しいものを、革新的なもの、唯一絶対なものを作っていくタイプではなく、もっと軽やかなタイプの広告クリエーターなのではないだろうか。

個人的には、広告に新奇なクリエイティビティなんて要らんよって思うし、元々広告ってパロディを内包するようなもんだと思う。だからニャンまげLismo!も、別に広告として考えたら問題ないんだよ。

でも、その軽やかな作風のままのスタンスだったとしたら「唯一無二のアイデンティティを表すオリンピックのロゴ・エンブレム」に取り組むのは、とても難しいことなんじゃないかと思う。
オリジナリティやクリエイティビティとかそういうタイプじゃないんじゃないの?佐野ちゃんはさ。歩いて行く方向、そっちじゃなかったんじゃないのかというか。

 

まぁこんな感じのことを、仕事の合間や帰り道歩きながら考えていたら、なんか私がぐだらぐだらと考えてるのよりも、何百万倍もきちんとした意見が、リアルプロ・中西元男さんからまとまっていた。まぁでも、せっかく長々ぐだぐだ書いたから私も上げておくけども 笑

中西元男公式ブログ | 中西元男 実験人生: 2020東京オリンピックと「日本デザイン界の大きな時代遅れ」

 

中西さんは、アレだ、新国立競技場問題の登場人物で言うと、槇先生だな。

デザイン業界からもっと手が挙がった方がいいと思う。新国立競技場では他にも御大がたくさん、異を唱えてましたが。

*1:ベタ惚れなんです。大好きなんです。はあかっこいい

*2:特区的なものの配置を見てるとそんな感じがしますね