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長い感想

100文字では足りなかった時に

庭園美術館でデザインに浸ってきた

ゲージュツ

白金台にある庭園美術館に、ようやく行ってきた。10年ぐらいぶり3度目。

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写真が暗いのは腕が悪いから。

前に来たのは仕事だったのだが、すっかりきれいに蘇っていて、職人さんの技術にしみじみ感心してきた。
この連休までやっている解放展示では、休日は写真撮っちゃだめだけど平日ならオッケーということで、休みをわざわざ取りました。有休とった甲斐がある蘇りっぷりであった。

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エントランスの天使のガラスレリーフも素晴らしかったし、ボウルルームのラリックのシャンデリア!香水塔!いやーデコだわーというデザインに、ふがふが喜んできたんだけど、前に来た時よりも色んな調度品や壁もすっかり磨き直されているというかきれいになっていて、心底住みたいと思ったよ、ここにさ。香水塔の部屋の壁の真っ赤な大理石、ちょうかっこうよかったわ。センスあるわねほんと。

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ダイニングの折りあげ天井の仕上げの美しさ*1よ。足元にあるダクトやヒーター設備の金具も、「アールデコでございますねん」という感じのベタなデザインで、いちいち感服しました。

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ラパンの描いた壁画も、すっかりきれいになっていた。

この食器とか、復刻して出してくれたら買うのに。100年近く昔のデザインなのにとても現代的。

 

アールデコって、芸術とデザインの間というか、歴史と現在の境目というか、そういう感じである。芸術品でございます、というには若干の違和感があるけど、でも、そろそろ芸術や歴史になってもいい頃だよねというか。

 

要するに、物欲をものすごく刺激される。10年近く前に都美術館でアールデコ展をやっていて、美術の師匠のオジサマと一緒に見に行ったのだが、見るもの見るもの欲しがる私をオジサマにかなり面白がられた。だって、家に置いてあっても全然オッケーである。予算的なことを除けば。
あーでも照明器具とかは、やっぱり天井の高さが3.5mぐらいはないと格好がつかないだろうからオッケーじゃないのかもしれないけどさ…ぶつぶつ。

 

私は、美術展とか芸術を見に行くと、「買い付け」目線になることがある。
これが家にあったら素敵だろうなー、いくらかな?と思うのだ。ルソーとかコローとか、欲しくなりませんか?ルソーの大きくて緑のヤツ、すごく欲しくてたまらないのがあるんだけど、これを買って飾るには相応の家が必要だし、そうなるとその家はマンションだとしても大体5億を下らないだろうし空調も気を使わなきゃいけないよなとか、絵を飾るリビングは30畳くらいで天井も高くないと格好がつかないなとか、そういうアホらしいことを考えてニヤニヤする。
それが特に酷くなるのが、アールデコ界隈と、和物だと琳派界隈のインテリア・グッズである。尾形乾山のやきものとかも、普通に欲しくなりませんか?あと光悦の金泥で雁書いてあるやつとか、仕事ノートで使って人に羨ましがられたくなりませんか?*2

庭園美術館は、建物ごと「なんだよもう、住みたいじゃないか。お家賃いくら出せばいいのよ」である*3。家の維持とか掃除やってくれる人を雇わなければいけないなぁ…とか。そういう感じである。
何しろとても住みやすそうなのがよい。もともと建築史におけるアール・デコは、パリの劣悪な住環境をなんとかしようという試みでもあったわけで、そりゃあ「現代的な生活をすごすための快適さ」がばっちり考慮されていて当然である。

 

アール・デコって、その前に流行ったアール・ヌヴォーにインスパイアされつつ、アール・ヌヴォーの作家たちが偏愛した自然の造形を、抽象化=「デザイン」にしたということなのかなと思う。「いわゆる芸術」からどんどん自由になっていく、解放されていく過程というか。

 

デザインって、たぶんそもそもが「そういうもん」で、抽象化の結果、似てきたり一般的になってくるのが「正解」なんじゃないかなーなんて、例の件のことをちょっと思い出したりしながら、名残惜しげに庭園美術館を後にして、念願だった東急バスの等々力操車場⇔東京駅南口系統のバス*4に乗って帰宅した。

いやー、ほんと住みたいわ、あそこ。

 

おまけ1

2階の朝香宮の居室は、書庫・書斎・居間・寝室という、ひとりで4部屋!も使ってて、建物はモダーンなんだけど、間取りは家父長的なんだな。奥様の部屋は2つ(居間と寝室)、息子の部屋は3つ(居間、寝室、合の間)、娘の部屋は2つ(居間というか衣裳部屋?、寝室)。家父長的で男尊女卑的…。娘の部屋を覗いてたどこぞのおばさまが「女の子の部屋はぞんざいなのねー」って言ってた…。やっぱり昔には戻りたくねーなー。

 

おまけ2

書庫は大体8畳ぐらいかなぁ、かなり広くて、壁びっちりにしっかりした本棚と、憧れの「本棚はしご」が付いてて、目が♡になりました。
面白かったのが、書庫を覗いてた別のどこぞのおばさま方(この人らはかなりマナーが悪かった…)が「この部屋はなに?棚だらけよ?」「何かしらねー、食器棚じゃない」と言ってて笑った。書斎の隣に食器棚は作らないだろうw 食堂は1階にあったのに見てなかったんかよw ふだんどんな家に住んでんだよwwwってなって、笑いをこらえるのが大変だった。

 

おまけ3

それで朝香宮っていったいどんな人なんだろうかって思ってググってみたところ、あんまり性の宜しそうな人ではなさそうな…というか主戦論者だったのね…。うーぬ。

 

おまけ4

庭園美術館、蘇って本当に何よりなのだが、新しくできた新館の、レクチャールームというか映像を流していた部屋の隣がカフェ、すぐ向かい側がお土産物の売店で、うるさくてしょうがなかったよ…映像流すのに使うなら配置考えた方が…。

*1:修復した職人さんもすごいんだよなーいいなーかっこいいなー

*2:でも、土産コーナーに売ってるオフセット印刷の色々なグッズは、ぜんぜん、一つも欲しくない。だいたいやなー、美術印刷業界はもっと繊細に印刷してほしいよなー。図録ですら「こんなのぜんぜん違う…」ってのが普通にあるぞ

*3:ちゃんと、馬鹿なことを言っている自覚はあります

*4:長い距離の路線バスって旅情があると思いませんか。日常なんだけど非日常というか、白金台から我が家までノンストップなの?的非日常ロマン。