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長い感想

100文字では足りなかった時に

琳派づくしの1泊2日

ゲージュツ

京都は琳派400年だそうで。いつを起点に400年なんだろなと思ったら、本阿弥光悦が鷹峯に住みついた年を起点にしているんですってね。

で、京都が一番混みあう秋に、京都国立博物館が「琳派展」をぶつけてきた。それに、ほかにもあちこちの美術館で琳派関連の美術展をやってたのもあって、美術展ばっかりを見てきた。

見てきたのはこの4つ+1寺。

 ■ 京都国立博物館 琳派 京を彩る

 ■ おまけ 養源院

 ■京都国立近代美術館 琳派イメージ展

 ■細見美術館 琳派のやきもの 乾山

 ■ 美術館 えき KYOTO 琳派からの道 神坂雪佳と山本太郎の仕事

いやーすっかりお腹いっぱいになった。

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京博の琳派展はどうせ死ぬほど混んでるだろうから土曜の夕方に行くことにして、チケットだけ買って、すぐ隣の、宗達の白い象の杉戸絵があることでおなじみの養源院でちょっと時間調整してから行った。夕方からでもすごい人混みではあったけども、行ったり来たりしながら粘って、鶴の和歌巻をずわーっと端っこから端っこまで眺められたの幸せだった。

3つの風神雷神図がそろい踏み!というのは、確か東京で何年か前にやった展覧会でもかけてたネタのような記憶があるんだけど*1、まぁ3つ並んでたらやっぱり見たいよね。ということで一番の人混みだった。
で、ちょうど3ケ全部がゆるりと見渡せるいい感じの場所を見つけたので、そこで人垣ごと見てたらなんかすごく面白い気持ちになってきた。一番人気はやっぱり光琳なのね。で一番人垣が薄いのが抱一。私ははみ出し系なので宗達が一番好き。ただ、展示順が、真ん中に元祖で、手前に光琳、奥に抱一、ってなってるから、光琳のやつを見た後に元祖を見る形になってて、なんかちょっと個人的には納得がいかないなーなどと小生意気なことを思ったりした。

あとは、光悦の書画がらみの展示が多かったんが、書も何となく面白いと思ってきたところだったのでタイムリーだった。でも、人混みのアレさと比べると、うーん。せめて、京都の修学旅行&紅葉シーズンが終わる12月半ばぐらいまでやっててくれればねぇ…。まぁ色々都合がおありなんでしょうが。

閉館案内に急かされて出てきて、なんかイベント(プロジェクションマッピング?)の準備もせわしいなか、谷口吉生の建物が怪しく端正に浮かび上がってるのが、一番のお得感と言えばお得感であった。ああかっこいい。あーかっこいい*2

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翌日、日曜に行ったの近代美術館の琳派イメージ展は、想像してたよりずっと良かった。何よりも空いてるのがすごく良かった笑、けど、まぁそれはそれとして、展示作品も並べ方もいかにも近代美術館的というか、「近代」は琳派をどう捉えたか、というのが分かりやすく。勉強になりました。

個人的に「ベスト展示賞」は、ヨージの桜の花びら散るドレスコートをバックに、清水六兵衛の桜の花びらが緻密に濃密に密集した水差しが見えるポイントに差し上げたい(何様のつもりか)。なんかねぇ、秋なのにそこだけ春、春、春という感じで。花いきれで息苦しいぐらいであったよ。

で、ご近所なのでそのまま細見美術館で乾山展も見てきた。そもそも「琳派モノ」って見てるとかたっぱしから欲しくなるんだけど、乾山の器はそのなかでもダントツに「…ほしい」と思える代物で、おまけに展示してある器にものすごく美味しそうな料理を載せた写真集的図録とかあって、こりゃまいったねという素晴らしさであった。昼ごはん前に見たからほんとお腹が鳴ったわよ。 

乾山 KENZAN―琳派からモダンまで

乾山 KENZAN―琳派からモダンまで

 

 ちょっと面白かったのは、京博は結構アジア系(中国系、韓国系、東南アジア系の言葉を感知。しかし声がでかいんだよな笑)の観光客と思われる方がたくさんいたんであるが、近代美術館と細見美術館は欧米系の人が多かったこと。お昼食べながらなんでだろねーって言ってたんだけど、まぁ私たちだってイギリスに旅行に行ったら、大英博物館やナショナルギャラリーには行くかもしれないが、ヴィクトリア&アルバート博物館まで行こうという人はかなり少なくなるだろうからそんなもんだな(あんまりあってないかもしれない例え)、という結論になった。しかし乾山のあの器って、和食以外のものを載せるのってとても難しそうよね…。

 

で、帰りしなに、土産を物色したがる同行者と別れ、私一人で伊勢丹の上の階でやってる神坂雪佳・山本太郎の美術展を見てきた。スーパーマリオルイージ図屏風を見たいがために。これね、この真ん中のやつ。

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京都だから当然と言えば当然&このところ流行ってるというのもあって、どの展覧会も全体的に神坂雪佳推しで、ミーハーな私も京博の琳派展と同じぐらいそっちも目当てだで。こないだ行ってきた山種美術館にも山ほどあったけど、こちらで見たのも良かったよ。山本太郎もすごく気になってたのでとても良かった。山本太郎は、例の議員さんじゃなくて、「ニッポン画」と称するおもしろ日本画をものする気鋭の画家さん。

結果的にはこれが一番面白かったかもしれない…何しろこちらも空いていたし笑。マリオ&ルイージ図屏風の所蔵が「任天堂」ってのもすごくいいなと思った。任天堂さすが。

おみやげに、図録と山本太郎プレゼンツのかわいらしいお茶菓子を買って帰ってきましたとさ。
そういえば、京博の琳派展の図録は、うーん。なんかねー、色がねぇ…。あと、何年か前の琳派展の図録は持ってるから、まぁいっかということで買わなかった。近世ものの絵は色をオフセットで再現するのは難しいよね。分かるけどさ分かるけど…欲しいと思えるものではなかった。

 

おまけ 1

私にとっての琳派は、マスキュリンで抽象的でデザイン的なものというイメージ。
琳派」って、何なのよという定義が難しいんだろうなーとは思うんだけど、ただ美術の専門の人たちの解説などを読むとフェミニンで日本的で繊細で、というものも結構多かったりして、とまどう。私は美術素人だから私の方が間違ってんだろうとは思うんだけどさ、とまどう。少なくとも光琳までは、フェミニンなものってあんまり感じないけどなぁ…。線が細くて色が繊細だとフェミニンってことなのかなぁ。それでもなお「カッコイイ」からすごいなーって思うのに。
まぁ好みの問題か。私は、リバティプリントみたいな(失礼)秋草図屏風的なものは、キレイねーすてきねーとは思うけど、欲しいかと言われると難しい*3。まぁ、宗達も光琳も「クライアントの依頼を受けたインテリアデザイナー」みたいなものだものね。フェミニンなもの作れと言われれば作るという感じか。

そういえば、必ず「ここは『たらしこみ』という技法が…」みたいな、「琳派奥義・必殺!たらしこみ!!」的な解説が入るけどあれも、どうなんでしょうか。
技法論みたいなのも、そりゃもちろん専門的に語ればいくらでも分析はできるんだろうけど、「こう書きたいという方法を、○○派の流儀にとらわれずに(好き勝手に色々)トライしてきた」みたいな方が、日本画の流れというか、近世の文化の面白さ*4全体を掴みやすいような気がするんだけどなぁ。

 

おまけ 2

美術みやげ業界に対して、これは声を大にして言いたいけども。

風神雷神図モチーフのマスキングテープと、鶴下図巻の藍手ぬぐいがあったんですけど、これ、どう考えても逆でしょう!

 

風神雷神図の手ぬぐいだったら。

鶴下図の、金銀の鶴がひらりひらりと飛び立ち舞い降りるマスキングテープだったら。

絶対買ったのに!!

 

ばかぁ!

 

*1:見た記憶があるんだけど、夢の可能性もある。3ケをバラバラに見たのかもしれない…。

*2:プロジェクションでマッピングよりずっとかっこいいのに

*3:だれもくれるとは言ってないし買えるわけもないけども

*4:要するに何が言いたいかというと、近世の文化・美術の面白さって、非・貴族階級の作った面白さで。だからこその大胆な抽象化や過剰装飾や諧謔やら、見どころがそれぞれ百花繚乱になるわけで、近世って豊かな時代だったんだよなぁと思ったりする。だって100年以上戦争やって大丈夫なぐらいは豊かになったってことなわけで

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