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長い感想

100文字では足りなかった時に

師匠選びは大切だねって、落語家三人がよってたかって言うてたよ

らくご

今週は、横浜までわざわざ出かけて落語を見にいったんですよ。

桂雀々春風亭昇太、春風亭一之輔の三人会。わざわざ横浜まで行ったのは、雀々さんの大騒ぎな落語を、久しぶりに昇太さんの落語とお馴染みの一之輔さんの落語をはさんで聞いたらどんな気持ちになるかなーって思ったから。
BSフジ主催の落語会だったからか*1、なんかちょっと変則的な感じで、前半は前座さん合わせて落語を4本、後半はお三人方のトークショーとスポンサーの山本海苔店の抽選会という、落語会としてはちょっとだけ変則的な構成でした。前半が終わったところで帰りそうになったわよ笑。

 

まぁラインナップ的にも外れようがないゲラゲラ笑った落語会ではあったんだけど、後半のトークショーの部分で、お三人方それぞれが「師匠が優しくてほんとよかった」って言ってたのが興味深かったわけです。

雀々さんが前半戦の落語(代書屋おもしろかったわぁ…)のマクラで、春團治師匠が無くなられて寂しくなるね、という話から、ご自身の師匠である枝雀師匠はじめ関西落語四天王の皆さんのモノマネをされてて、その部分がもう本編に優ると劣らずゲラゲラ笑ったんだけど、後半のトークでは、その雀々師匠のマクラを拾って広げた「師匠はなし」のなかで、お三人方がそれぞれ「うちの師匠は優しかった。こんなにオレが馬鹿やっても面白おかしくしてくれた」みたいなことを言うので、なんかね、SMAPの暗黒生会見の次の日だったせいもあって、連結して考えちゃってしみじみしたんですよ。いやほんと。

 

昇太さんのお師匠さんは「春風亭柳昇といえば今や私一人で…」のシュールな口上でおなじみの爆笑創作落語の名手、一之輔さんのお師匠さんはまだ現役バリバリ、古典落語の名手春風亭一朝師匠。で雀々さんのお師匠さんは言わずと知れた鬼才・桂枝雀師匠。このお三人は皆さん基本的にゲラゲラ系の落語家さん*2だとは思うんだけど、そのお弟子さんたちも皆さんゲラゲラ系、そして修行時代のそれぞれの師匠はみなさん、鷹揚で優しかったと声を揃えて仰っていたんですね。

 

まぁ、もちろん板の上の話だから、そういう風にした方がおもしろおかしく話が続くかなとか、「うちの師匠は厳しくて」という空気でもなかったしな、というのもあったりするとは思うけども。
舞台上のお三人がともに、師匠選びは大切、落語家人生のほとんどが師匠選びで決まる、と仰っていたんですね。まぁ落語という口伝が原則の芸の性質上というのはもちろんあるんだろうとは思います*3
一之輔師匠なんか、若い頃酔っ払って、一朝師匠に向かって「あにさんはさぁ…!」って話しかけちゃったらしいよ。かわいいわ。一朝師匠の返しがまた面白かったんだ。

 

お三人が語る優しい師匠(の面白エピソード)の共通点は、師匠の指導というかツッコミが面白いというか、オチがついているということだ。まぁこの辺も、喋り手さんが落語家だからこそ、キッチリオチ付けてやろうということではあるんだろうとも、思うけれども。

 

で。

事務所選びも大事っすよねって話が、どうしてもアタマをちらついて離れないw

 

芸能に携わる人って、人を楽しませる、とか、私たち凡人の暮らす毎日ではあまり多くお目にかかることがない珍しいものを見せてくれるとか、そういう「役割」を、社会全体のなかで担ってる人たちなんだろうと、思うんですけど*4

落語家さんであれば、よく言われる「内弟子修業は、人に嫌われないようにするための勉強」というのが典型的だけど、笑わせることで「レアな役割」を担う人にとっては、誰からも嫌われないようにする、というのは最初にして最大の学ぶべきことなんだろうと思ったりするわけです。アイドルなんかも落語家さんと同様の傾向はあるでしょう。落語家よりは求められるものが多様でしょうけれど、基本的には「その他大勢の私たち凡人から求められるものを提供する」ことが彼らの役割の大きなウェイトを占めているわけです。

日常生活で私たち凡人*5は、誰からも嫌われないようにするのは不可能です。人が大勢いる世の中ではどこかで利害が反していたり何かが相手の琴線に触れてしまったりすることは当たり前のことだから。
で、私たちはそういう「レアな役割(=芸)を磨いた人」を見て、うっとりしたり、ゲラゲラしたり、キャー!ってなったり、うおぉぉぉ!ってなったりして、私たちの当たり前で残酷な日常をやり過ごすための栄養をもらう。こういうのはもう、洞窟に絵を描いていた大昔の人間の頃から必要な栄養だったんじゃないかと思うんですが。

 

 

SMAPにまつわる代紋騒動について、私はジャニーズ事務所の「システムとして若い男性アイドルの団体を愛でる文化」に一ミリも興味がないし、SMAPにも正直特にシンパシーを持っているわけでもない、全くの外野の野次馬だったんですが、あのスマスマで流れた暗黒謝罪映像は私の心の琴線に大きく触れるものでした。いや私だけじゃなく多くの人にとって、ほんとうにこう、なんでしょうね…、気持ち悪さやおぞましさを感じるものだったようです。あれを許容できる可能性が一番高いだろうはずの、宗教法人ジャニーズ事務所*6の信者の方々にとってさえ、衝撃的な映像だったようですし。

 

そして、あれから何日もたってまだ、どう考えてもジャニーズ事務所大本営発表だろうなっていうおもむきのワイドショーやスポーツ新聞の内容がちらほら目に入るたびに、あの暗黒謝罪映像を思い出し、私は、やっぱり、「レアな存在」として人を喜ばせたり嬉しがらせたりするはずの仕事をしてる人に、裏切られたというか、ここにきてハシゴ外されたなぁとか、そういう気持ちになるわけです。

 

私はもういい年したオバハンですから、芸能界(に限らず世界のすべて)にはダーク・サイドがありキレイではいづけられないことや、ましてや集まるお金の量が多ければ多いほど汚い部分も増えていくことぐらいは、ある程度は飲みこんでいたつもりでいました。そしてダーク・サイドのことを口に出したりしない代わりにダーク・サイドはあまり見せてくれるなよ…と願いながら、鉄腕DASHだったり長瀬がでてくるクドカンドラマなどを楽しんでいたわけです。
ダーク・サイドがなきゃ今の体制が保てないというのなら、せめて無為に無邪気に楽しんでいる我々凡人にダークな部分はなるべく見せてくれるなと。そういう約束を、私たちは暗黙のうちに結んでいたと思っていたんです。

10年に1度ぐらいのペースで繰り返し噂になる「ジャニーさんの男色セクハラ」的なものとか、いつの間にか干されてた元ジャニーズタレントとか、「なかったこと」にして軒昂にやっておられる様子だったので、まぁポロリがたまにはあるとはいえ、「アイドルを供給する、代わりにダーク・サイドのことはまぁいいじゃないか」という関係になっていたんじゃないかと思っていた。

 

ジャニーズ事務所の側が、先にその「世間とジャニーズの間の暗黙の了解」をぶっちぎったのが、あのスマスマの暗黒謝罪動画だったんだと思います。

まぁジャニーズ事務所側が意図したものが、見ていた私たちにその通りに伝わったかというと、これは本当に、まぁぁ、あーあ失敗、という感じなのかもと思ったりしますが*7、内々で処理すべき内紛を全国ネットで、ご丁寧に他のテレビ局にも即素材提供する手際の良さで知らしめてやろうというのは、「暗黙の了解であったはずのもの」を、えいやーっとひっくり返したということだと思うんです。

私から見ると、そういう「見えないこと」としてたお約束を自分で放擲しちゃって大丈夫なんだろうか、と不思議に思うんですよね。

 

一番に裏切られたのは、可哀想なのは、熱心に追いかけていたファンの人たちなんだろうけど。

お約束を放擲しちゃってTVでアレを流しちゃったことで、私のような外野の野次馬に改めて「ダーク・サイドを内包した、ジャニーズ事務所および日本の芸能界のタコ部屋・奴隷労働スキーム」に目を向けさせてしまったわけで。

さて、暗黒謝罪映像から5日たった今でも、スポーツ新聞では「ジャニーズ事務所大本営発表」が掲載されているようですが、1週間たって新聞もTVのワイドショーも一回りしたら、やっぱりなかったこと&暗黙の了解の時代に戻るのか、それとも、そうじゃないのでしょうか。

 

 

おまけ。

そういえば、中学生の頃からずっとうっすら不思議に思っていたことがあって、たまたまかもしれないけれど、身の回りにいたジャニーズ好きの子たちは、社内政治や男色の噂なんかのダークなところごとジャニーズ事務所ラブというかアイドル好きをやっているように見えて、まぁそんなのは個人の好みの問題だろうからどうでもよくて、不思議なのは、なぜか門外漢で興味も何もない私にも熱心に「ジャニーズ教の布教」みたいに話を聞かせてくれるんですが、あれは何の情熱なんでしょうか。

私がたまたまイタイ人にばっかり出会うのだろうかと思ったりもしますが、今回のSMAP暗黒動画騒動後にいくつかホテントリしてたはてなブログのジャニーズファンの方々のブログ、あんな感じの内容のこと、リアルでまくしたてられるとすごく辟易とするんですよね。なんだろう、風采の上がらないオッサンが得々と社内政治の批評をしててそれを聞かされてる感じに近いというか…。その、「カブれてない人にとっては異様で滑稽にすら思う自分たちの生態を、説明して分かってもらいたがってる」感じって、私にはあんまり理解できない情熱で不思議で、だからこそ新興宗教みたいだなって余計に思います。

*1:TVやラジオ主催だと公開放送的に使ったりするんかしらとか思ったけど、そういう気配もなかったからやっぱり不思議ではある…

*2:おおざっぱなくくりで申し訳なくて穴に入りたいところではあるが、穴もないし、「人情モノとか物語モノで、おもろうてやがてしっとりさせてくれる人」と「ゲラゲラゲラゲラさせてくれる人」というおおざっぱな分類を脳内でしています。本当に申し訳ない。

*3:口伝とはいえ師匠弟子の同じ落語きいても結構違う、アレンジはぜんぜんしてオッケーらしいね

*4:私が勝手に定義しているものです。私にとってはスポーツ選手も「すごく珍しいものを見せてくれる人」なので、広義では芸能に携わっている人だと思っている。

*5:何度も、読んでいる人を巻き込んで凡人扱いして大変申し訳ない

*6:いやなんか新興宗教みたいだなって思ったのでへたな冗談を

*7:これは邪推だけど、騒動の中心の一人であるメリーさんという方は80overらしいじゃないすか。で娘も火中なわけでしょ。私が娘なら、母親の過剰な不寛容を認知症などの症状として心配したりするけれど…元々ずっとそういう不寛容でヤクザな母親だったとしたら区別付かないけどなw