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長い感想

100文字では足りなかった時に

仙台で、仙台の街の底力を見た

ゲージュツ 感想いろいろ

続いて、定禅寺ストリートジャズフェスティバルの話。

 

東日本大震災のあとに、まぁ色々お手伝いなんかのアレがナニで、仙台に通っていた時期があるんですが、その時にみかけて「なんじゃろこれは」と思って、予定が合わなくていけなかったのが、このイベントでした。

 

用事がなくなれば、そうそう出かける財力があるわけでもないので、タイミング…と思っていましたが、まさかマリノスの試合と重なってくれるとは!!ということで、喜び勇んで仙台に行ったわけです。
とはいえあくまでも本題はサッカー、というとこもあったりして、ジャズフェスについては大した予備知識も持たずに出かけたんですが、ほんとうとても良かった。

 

仙台って杜の都とか言うじゃないですか、何が由来かよく知らないのですが…、美しいけやきの並木道がいくつかある街なんですよね。市街地なんだけど美しい緑がある。あと大通りは歩道も充実してる。とても良い街だと思っています。

そのけやきの大通りのひとつが「定禅寺通り」。東京でいうと、原宿と新宿が合体したみたいな感じがする街。ちょっと脇の路地裏には国分町という飲み屋街があったりします*1定禅寺通りは、私の好きな建物、せんだいメディアテークがあることもあって私の立ち寄りスポットでもあったんですが、通りの真ん中に広々としたけやきの並木があって、公園のようになっています。

そこで、日がな一日、入れ替わり立ち替わりジャズをやっていたよね。いやほんと素晴らしかった。

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こんな感じで。

 

いくばくかを募金箱に入れるともらえる分厚いパンフレットを見ると、730バンドが出演とあります。舞台は定禅寺通りだけじゃなくて仙台の中心市街地のあちこちに点在していて、プロから玄人はだし、素人から、おじいさんバンドから高校のバンド仲間かな?みたいな人たちまで、上手い人からちょっとこれはwという人まで、本当にいろんなバンドが、ジャズにこだわらず色んな音楽を、街中でやっている。

 

音楽に興味のない仙台市民がいたら、迷惑だろうなw

 

私は、音楽がとても好きだしジャズも大好物なので、大変興奮いたしました。何しろ泊ったホテルの1Fのエントランスにも会場があって、クラシックギターデュオやらスリーピースジャズやら、やっていました。

いま仙台は、NIANTICと東北被災県のキャンペーンのせいかは分かりませんが、街をふらふら歩いていると、東京だとお目にかかったことがないようなレアポケモンが、ぱしーんと来るんですよ。ジャズフェスのメイン会場の一つでもある勾当台公園は、twitterなどの噂ではピカチュウが山ほど出てくるよということでしたので、ジャズ聞きがてらピカチュウの2、3匹もゲットできたらそりゃ幸いと思っていましたが、ピカチュウも山ほど捕まえられたし聞いたバンドもどれもこれも個性的で大変楽しかった。屋台の食べ物飲み物のクオリティも高かったし、なんだあのイベント、ちょう楽しかったんでやんの!

土曜のサッカーはナイトゲームだったので、イベント開始の11時すぎから勾当台公園から県庁のあたりを右往左往して、あっちのステージ、こっちの舞台、ああビール、ああパシーンって言ったピカチュウきた!ゲットした!ああこのバンドちょうおもしれえ、ああパシーンて言った、こんどは鳩かいや鳩の隣にロコンおるやんかとか、そんな感じで、3時ぐらいまで*2天国に過ごしました。
ぐっときたのはですね、県庁前のステージ*3で見た、宮城県弁護士会のビッグバンド。どうやら弁護士の先生なんかが中心になっているバンドのよう。

アマチュアだから、すごく上手いとはお世辞には言えないんです。言えないんですが、なんていうか「忙しい中、このイベント用にがんばって練習してきたんだろうなぁ…」としみじみさわやかな気持ちになる、すばらしく良い演奏だったんですね。聴衆を楽しませようという工夫やチャレンジもあって、よいものを見た。地元の弁護士さんたちが、地元の大きな音楽イベントのために集まって、趣味の楽器演奏を楽しんで、来た人にも楽しんでもらおうと思ってやってて、というのに、なんていうんだろう、全く部外者の私は突然「仙台で暮らしている人たち」のリアルな手触りを感じてしまった。

 

日曜は、さらにその「手触り」をゾクゾクっと感じることになりました。ぶあつい案内パンフレットの中に気になるイベント。

 

JSFスウィングカーニバル」

楽器を持って街に行こう!誰でも参加できる市民アンサンブル!

 

東北大の学生ビッグバンドを中心に、プロのジャズミュージシャンがキュレーターになって、誰でも楽器持っていったら、その場で楽譜をもらって、その場で練習やってアンサンブルジャズやろうぜ、というイベントらしい。

そんなもん、ちょう楽しそうに決まってるなーと思って、ふらりと行ってきたのです。

場所は、仙台の歌舞伎町*4国分町の一角、夜はキレイなオネーサンがおっさんに酒飲ませてる店が並んでるようなところにある公園。脇にずらっと美味しそうなつまみと酒を出す屋台があって、ステージ上には学生バンドとキュレーター?であるトランペッターの沢野源裕さん、ステージに向かい合うように「楽器を持って集まった市民の皆さん」がやまほど。その後ろに観客席というか、まぁ座って飲んで食べられるスペース。

 

素晴らしいのはですね、私のようにふらっと来た人でも参加したような気になれるように、タンバリンみたいな形のタイコとバチを貸してくれるんですよ。
私はまぁ座って飲んで食べたいですから、端っこの方に座ってさんまとビールとかをやってたんですが、入口でタイコ貸してくれたので、ぽこんぽこん、さんまうめー昼からビールさいこうー、ぽこたんぽこたん、三角油揚げちょううめー!と大変楽しく過ごしました。

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三角揚げ、ビール、タイコ。やばい。


まぁ、そんな風にお気楽にビール飲みながら見てた私に言われても失礼な話ではあるんですが、アンサンブルの指導、とても真摯にされていたんですよね。それを見てやっぱり「底力…」と思ったんです。

やった曲は3曲、上を向いて歩こう、Rock Around the Clock、Watermelon Man。聞けばああ、と思う名曲&有名曲、それをどうやって味付けするか、ブルーノートスケールってこういうのだよ、じゃあ一緒にやってみよう、という構成。さらに毎年恒例らしき「飛び入りでソロプレイやろう」のコーナーなんて、宮城や東北だけじゃなくて全国から来た人たちが、皆さんそろいもそろって大変な腕前で御自慢のソロフレーズを聞かせてくれました。キュレーターの沢野さんのお人柄もありそうだけど、終始温和で、でもがっつりとジャズで、たくさんの人が同じ音楽を楽しんだ。すごいなーほんとすごい。こんな楽しかったのなら、何かのついでとか思わずわざわざ行くべきだった!

 

ねー、楽しそう。

 

アンサンブルイベントが終わって、感じ入りながらふらふらと定禅寺通りのステージを見て、フンガーフンガー踊ったりビール飲んだり、ロコン出たから捕まえたろ、とかやってて、気付いたんですが、街の至る所にあるステージが、どこも割と温和に運営されてるんですね。こんな広いエリアで酒飲んでる人もあちこちにいるようなイベント、例えば場所取りとか通行人との小競り合いとか、トラブルがあってもおかしくないと思うんだけど、まぁ実際にはトラブルあったんでしょうが私には見えなかった。日曜は雨交じりだったしPA関係のトラブルとかステージ入れ替えとかでトラブルも、ありそうなもんだけど、見えなかったんですよ。この底力すごいなーと本当に思った。

 

仙台に何度か通った時期にも、仙台の人温和だなーと思ってたんだけど、「街の性格」のようなものが、「街のイベント」にも現れたりするのかもしれない。それとひとつには、出演しているバンド、ほんと失礼ではあるが、高位ではあるが質も内容もバラバラなんですよ、緩いの。
緩いのがすごくいいんじゃないかと思うんですよね。もちろん〆てるところは〆てるんだろうけど、ゆるーくイベントを楽しめるようになっている。これアレだ、街ぐるみのアマチュアフジロック的なものかもしんない。

 

アンサンブルイベントの冒頭で実行委員長なる方のごあいさつがあり、1991年から始めたイベントだとおっしゃっていました。25年前!そして第1回目は出演者は25バンドだったのが、今年は730バンド!だそうで…。すごいねほんと。

1991年といったら私はまだ子供、日本は最後の好景気の最後の最後、しっぽのあたりだったんじゃないかと思います。景気が良かったころってこういう街おこしイベント的なもの結構やっていたんじゃないかと思うんですが、それをずっと続けてきたのが、何よりすごいと思うんです。

1991年よりあとに日本に起こったのは、その後10年以上続く不景気とデフレと、地方の衰退と、東日本大震災です。その間ずっと、仙台の音楽好きの人たちはこのイベントをやり続けてたのか。

 

その間、東京はどうだったんだろうなと思うと、ただただ「お金」な街を積み上げ作り続けてきちゃったんじゃないかと思う。きれいなビルはたくさん建ったけれど、便利にはなっているけれど、それは「首都東京に集まるお金をよりハイパフォーマンスに運用しよう」という目線ばかりだったような気がする。
「そこで働いて生きて、音楽と人生を楽しんでいる人たちの感触」みたいなものは、どんどん感じにくくなっていっているような気がするんですよね、東京。
なんかねー、仙台うらやましいなーってしみじみ思いましたよ。サッカーは専スタで見られるし笑。

 

 

とはいえ私は東京の人なので、仙台を羨ましがりながら、ここで「生きる感触がある街」の一員にならなきゃなーと思ったりもしました。

 

いや、楽しかった。

来年も行こうかね。行けるといいな。

*1:東京でいうと歌舞伎町みたいな感じだろうか

*2:ユアスタの開場ぎりぎりだった

*3:ビッグバンドジャズ系のステージが多かった感じ?

*4:私が勝手に言っている